「トレーニングの原理・原則」で効率的に体力UP!3つの原理と5つの原則を解説

日常生活において「トレーニングの原理・原則」という言葉には「馴染みがない」という方も多いでしょう。
<トレーニングの3原理>とは、トレーニングをした際に実際に起こる”身体の現象”を指します。さらに<トレーニングの5原則>とは、トレーニングを実際に行う際に大切な”マインドセット”(心持ち)を指します。
「原理」と「原則」どちらもトレーニングを効率よく行うために覚えておいて損がないものですので、今回は「トレーニングの原理・原則」について丁寧に説明していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
トレーニングの3つ原理

まずは、実際にトレーニングをして筋肉を動かした時に起こる現象<トレーニングの3つの原理>について順番に解説します。当たり前のようですがトレーニングを行う上で欠かせない大切な理論です。頭に入れておきましょう!
①過負荷(オーバーロード)の原理
トレーニングにおいて何らかの効果を望むならば、“日常生活上で感じている負荷よりも強い負荷”をかけなければならないという原理です。
例えば、筋力を向上させたければ日頃よりも重たい物を動かしたり、持久力を向上させたければウォーキングのフォームを今までより大きく早く歩く……など。
身体はかかる負荷に適応する力を持っているので、やがて同じ刺激には慣れてしまいます。そこで「いつもより少しきついな」と感じる負荷をかけることで、その刺激に耐えられる筋肉を作ろうと身体が適応していきます。
②可逆性の原理
トレーニングをして得られた効果はトレーニング継続中は維持されますが、止めてしまうと徐々に失われていく原理です。
トレーニング期間が長ければ筋力が失われていく速度は遅くなり、トレーニング期間が短ければ早くなります。長く継続していれば何かの事情でトレーニングを中断してもすぐには失われませんが、短期間で得た効果はすぐに失われてしまいます。
まさに「継続は力なり」で、継続していくことがトレーニングにおいてはとても重要であるということです。
③特異性の原理
実際に身体に課せられた刺激の内容によってトレーニングの効果が決まる原理です。
マラソンの選手が水泳の練習をしてもマラソン競技自体の記録向上には役に立たないですし、減量したい人が筋力トレーニングばかりしていても効果はなかなか得られません。
自身が行うトレーニングの種類や動作の目的をしっかり把握しておかなければ効率よくトレーニングが行えない、ということです。
トレーニングの5つの原則

ここまでは、トレーニングの「3つの原理」について解説してきました。続いてはトレーニングにおける「5つの原則」についてお話していきます。こちらを押さえておくことで、効率よくトレーニングを行えるようになります。
①漸進性の原則
トレーニングの強度、量、難易度は徐々に増加・強化させていかなければならないという原則です。先述した「過負荷(オーバーロード)の原理」にも繋がります。
急激に運動強度を増加させると怪我の原因となってしまったり、モチベーションを低下させたりしてしまいます。
反対にいつも同じ強度で運動していては身体が負荷に慣れていってしまいますので、筋力の成長に合わせてトレーニング段階に変化をつけることが大切です。
②全面性の原則
ある部分の機能を向上させたいのであれば、他の部分もできるだけ向上させなければならないという原則です。
体力は色々な要素で構成されています。動かす力だけではなく、動きを支える力や、抑える力などが複雑に関わりあっています。偏らず全身をトレーニングするようにしましょう。
一般の方の健康づくりにおけるトレーニングでは「筋力」「持久力」「柔軟性」の3つをまんべんなく鍛えるのが望ましいとされています。
③個別性の原則
年齢、性別、体力、生活環境、病歴、運動歴、性格など各個人の持つ特性に合わせてトレーニングの内容を考慮しなければならないという原則です。
人間の身体は人それぞれ。トレーニングのプログラム作成においても10人いれば10通りの方法があります。昨今はメディアやSNSが普及して、「これが良い!」と流行りのものを取り入れてしまいがちですが、必ずしも自分に合っている方法とは限りません。
「自分に合ったトレーニング」は効率的な体力・筋力向上に欠かせません。
④反復性(継続性)の原則
体力も技術もトレーニングを反復し、継続しなければその効果は得られないという原則です。
こちらは先述した「可逆性の原理」でも触れましたが、トレーニングの効果は長期間実施することによって初めて目に見えるものとなって表れてきます。
どれだけ優れた施設や指導者、トレーニングプログラムであっても継続をしなければ何の意味もありません。
⑤意識性(自覚性)の原則
トレーニングを行うにはその目的を良く理解していなければならないという原則です。
トレーニングの理論をしっかり熟知し、自分の行っているトレーニングの目的をしっかり理解する事が効果の増大をもたらします。早く動かすことが大事なのか、姿勢などのフォームが大切なのか、をトレーニング中に意識してみましょう。
きちんと鍛えたい部分にアプローチができているのか、刺激を感じることがとても大切です。間違った方法や、目的を理解していないと怪我を起こす可能性も高まってしまいます。
【まとめ】「トレーニングの原理・原則」は安全に効率よく行うために大切!

いかがでしたか?ここまで「トレーニングの3つの原理・5つの原則」について解説しました。
当たり前のようですが、これを知っているのと知らないのとでは大きな差があると思います。また、継続してトレーニングを行うためには、怪我なく行えることが非常に重要です。
ご自分の日々の運動と照らし合わせて、トレーニングを有意義なものにしていただけたら嬉しいです。
筆者プロフィール
大塚聡 / パーソナルトレーナー(株式会社サミープロジェクト)
株式会社 サミープロジェクト代表取締役
サミーコンディショニングスクール代表
一般社団法人日本生活体力推進協会代表理事
1961 年5 月生まれ
早稲田大学教育学部体育学専修卒
早稲田大学大学院人間科学研究科修了(体力科学専攻)
フィットネスクラブ指導責任者、経営責任者を経て独立
株式会社サミープロジェクトを設立し現在に至る
資格
人間科学(健康科学)修士
教育学士
NSCA-CPT(パーソナルトレーナー)
CSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
日本体力医学会健康科学アドバイザー
厚生労働省ヘルスケアトレーナー
中学・高校保健体育教員ら
国際救命救急協会救急心肺蘇生法取得者
主な企業フィットネス実績
・ベネッセコーポレーション高齢者身体づくり教室監修
・日本商工会議所主催生活習慣病予防改善セミナー全国各地にて講演
・モーリスコーポレーション健康事業顧問
・ライオンズクラブ健康セミナー
・公立高校における親子健康セミナー
など、企業の健康関連部門においても多数活動