「防衛体力」とは?生活習慣に運動を取り入れて毎日元気に過ごそう!

突然ですが「防衛体力」という言葉を知っていますか?インフルエンザ、新型コロナウィルス、ノロウィルスなど年間を通して様々な感染症が流行していますが、そんな感染症の対策に有効なのが「防衛体力」を身につけることなんです。

今回はそんな「防衛体力」についてわかりやすく解説するとともに、防衛体力を身につけるためのポイントをお伝えします。

「防衛体力」とは?

まずは、普段あまり聞き馴染みのない「防衛体力」という言葉について解説していきます。

体力には2種類ある

体力には大きく分けて「行動体力」と「防衛体力」と2種類あります。

「行動体力」とは筋力や持久力、柔軟性など、大きなパワーを発揮する場面や動きに関する体力のことを言います。

反対に「防衛体力」とは、風邪をひかない、病気にならない、ストレスに強いなどといった免疫力や抵抗力に関する体力のことを言います。

「防衛体力」は日々の運動で強化される

運動不足の人より「適度な運動」を継続している人の方が、風邪をひきにくいとか病気になりにくいという研究データがあります。実際に運動習慣がついてから風邪をひかなくなったという実質的な経験をお持ちの方は多くいらっしゃいますね。

これは外部からの感染に対する抵抗力、免疫力が高まったということではないでしょうか。しかし、ここでのポイントは「適度な運動」ということです。激しい運動は逆に免疫力を低下させてしまいます。

トップアスリートは身体が弱い?

過酷なトレーニングを続けているトップアスリートは体調を崩しやすいということは実際にあります。筋力や持久力といった「行動体力」は一流でも、基本的な体調を維持する「防衛体力」は弱い、なんてことがあるのです。

特に、減量を余儀なくされる種目の選手やマラソン選手等が風邪をひきやすいという光景はよく見られます。過酷なトレーニングにより免疫力が落ちているということでしょう。

防衛体力を身につけるために適度な運動をしよう

ここまで「防衛体力」について解説してきました。ここからは実際にどのように防衛体力を身に付けていけばいいのか、ポイントをお伝えしていきます。

「適度な運動」ってどのくらいなの?

これは人によって様々で具体的に説明するのは難しいですが、一般的に健康づくりに適している強度を指します。有酸素運動の場合は「最大酸素摂取量の60%くらい」です。これはおおまかにいうとジョギングをしながら隣の人と余裕で会話ができるくらいの強度でしょう。

では、それ以上の強度では免疫力が落ちるからやらない方がいいのかというとそういうことではありません。ある強度以上の運動になると、身体にストレスを与える要素が出没してくるのは事実です。しかしそれが直接風邪をひくことや、病気になることに結びつくわけではありません。

トレーニングとは、ある程度身体に負荷をかけストレスを与えてそれに打ち勝つ力をつける、ということがなければなりません。免疫力がトレーニング後一時低下しても、それを補う能力がついたりすることが運動の効果なのです。

適度な運動であっても、その直後は疲労(いい意味での身体疲労)があるわけですから免疫力は低下しています。しかし、食事による栄養摂取や休養により疲労を回復させ免疫力も回復させる事によって体調を崩さずにすることができるわけです。

栄養や休養によって免疫力がすぐに回復する、言ってみれば運動直後は少し疲労感があっても直ぐに回復するくらいの運動強度が適度な運動強度と言えるのではないでしょうか。ダメージが少なく、身体機能が直ぐに回復する強度ということになります。

そしてこの「適度な強度」の運動を継続することが「防衛体力」の強化へとつながっていくのです。

アスリートのための「防衛体力」のつけ方

ここまで防衛体力をどのように鍛えていけばいいのか?について、解説してきました。ですが日常的に厳しいトレーニングを強いられているアスリートの方々はどのようにしていけばいいのでしょうか?

ここからはアスリートの方向けに防衛体力を身に付けていくポイントを解説していきます。

過激な運動をしなければならないアスリート

一般の健康づくりトレーニングは適度な強度の運動でいいのですが、現役の競技選手はそういうわけにもいきません。

過激な運動は免疫力を低下させると言いますが、それではきついトレーニングをしなければ「行動体力」が強化されず試合などで勝てませんよね。どうすればいいのでしょう?

オーバートレーニング症候群に気をつける

アスリートの方々は日頃からの「栄養」「休養」の意識を高めることが大切です。激しい練習後の免疫力低下をカバーする体調管理が必要です。

免疫力低下がすぐに体調不良に結びつくわけではありません。それをカバーし、すぐに回復する能力を備えていればいいのです。そういった能力を超える免疫力の低下やストレスが加わった時に体調を崩してしまいます。オーバートレーニング症候群はその代表的な症状ですね。

「オーバートレーニング症候群」とは

オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングが原因で運動パフォーマンスの低下と抑うつ症状に陥る状態を指します。

トレーニングのしすぎが原因ですので、基本的にはトレーニングを休めば改善していくものですが、ストイックに自分を追い込んでしまいがちなアスリートにとって休むことは勇気の必要なことでもあります。

また一般の人であっても「オーバートレーニング症候群」になることは十分あり得ます。アスリートであれば医師の診断のもと適切に休むことができますが一般の人は普段の仕事などを休むのが難しく、アスリート以上に治療に時間を要することもあります。

健康的にスポーツを楽しめるように、どのような競技レベルであっても「運動と休養」はセットで考えていく必要があります。

アスリートは「栄養」「休養」の意識を高める

過激なトレーニングを継続しているにも関わらず、食事がおろそかで栄養が足りなかったり、夜更かしをして寝不足のアスリートも少なくありません。そういう生活が続くと体調を崩すことはもちろん、競技パフォーマンスも落ちてきます。

体調管理をしっかりしていても、練習そのものがきつすぎて体調を崩してしまう場合もあります。これは免疫力がどうのこうのとは別の問題です。トレーニングプログラムを見直すことはもちろん、ドクターやコーチとしっかり話し合って解決することが必要です。

健康であるためには「運動」「栄養」「休養」のバランスがいいことが必須です!

疲労回復に効果的な食事のポイント

トレーニングをして疲れた体には効果的に栄養を取り入れたいですよね。運動後の体に必要な栄養素はたくさんありますが基本的な栄養素をご紹介するので抑えておきましょう。

ビタミンC

ビタミンCには、トレーニング後の疲労を起こす「活性酸素」の働きを抑制する効果があるとされています。果物や緑黄色野菜で積極的に摂りたい栄養素です。

おすすめ食材はブロッコリー。色の濃い野菜はビタミンCが豊富で、かつブロッコリーは野菜の中でもタンパク質も豊富とされていますので効率よく栄養補給ができる食材です。

ビタミンB群

体内の糖質や脂質からエネルギー生成を行うビタミンB群は、運動をする人には必ず抑えておいてもらいたい栄養素です。豚肉やうなぎ、カツオなどに豊富に含まれています。しかし、このビタミンB群は調理の過程で失われやすく、体内への吸収がされにくい栄養素でもあります。

一度にたくさんを食べても吸収されない栄養素なので、サプリメントなども上手に使いながら摂取できると良いですね。

【まとめ】「防衛体力」を身につけて風邪知らずの健康な毎日を!

ここまで「防衛体力」について徹底解説をしてきました。

一般の人は「適度な運動」の継続で、アスリートは「栄養」と「休養」の意識を、より高めたコンディショニングで「防衛体力」もしっかり強化して健康的な毎日を送れるようにしましょう。

筆者プロフィール

大塚聡 / パーソナルトレーナー(株式会社サミープロジェクト)

株式会社 サミープロジェクト代表取締役

サミーコンディショニングスクール代表

一般社団法人日本生活体力推進協会代表理事


1961 年5 月生まれ

早稲田大学教育学部体育学専修卒

早稲田大学大学院人間科学研究科修了(体力科学専攻)

フィットネスクラブ指導責任者、経営責任者を経て独立

株式会社サミープロジェクトを設立し現在に至る

資格

人間科学(健康科学)修士

教育学士

NSCA-CPT(パーソナルトレーナー)

CSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

日本体力医学会健康科学アドバイザー

厚生労働省ヘルスケアトレーナー

中学・高校保健体育教員ら

国際救命救急協会救急心肺蘇生法取得者

主な企業フィットネス実績

・ベネッセコーポレーション高齢者身体づくり教室監修

・日本商工会議所主催生活習慣病予防改善セミナー全国各地にて講演

・モーリスコーポレーション健康事業顧問

・ライオンズクラブ健康セミナー

・公立高校における親子健康セミナー

など、企業の健康関連部門においても多数活動