「お酒は太らない」って本当?気になるお酒と健康について徹底解説!

春はお花見、夏は屋外レジャー、秋は旅行に、冬は年末年始の忘年会……一年を通してお酒が飲みたくなるシーンはよくあります。そして世の中では時々「お酒は太らない」と言われることもありますよね。

今回は「お酒は太らない」という言葉の真相や、飲酒時に体の中で起きていること、太りにくいお酒やおつまみの選び方をわかりやすく解説します。

「お酒は太らない」って本当なの?

巷では「お酒は太らない」と言われることもありますが本当なのでしょうか?ここでは「お酒は太らない」という言葉の真相について解説していきます。

「お酒は太らない」と言われる理由

お酒のカロリーはエンプティーカロリー(空っぽのカロリー)と言われ、糖質やたんぱく質といった栄養素を含みません。また、アルコールは熱となって身体から発散されやすく、肝臓ではアルコールを優先的に解毒して排泄しようという働きが起こります。そんなことから、お酒は余分なカロリーを体脂肪として溜め込まないと言われています。

“エンプティカロリー”を理解する

お酒は太らないという説はこの「エンプティーカロリー」が大きく関わっています。確かに、アルコール自体のカロリーには栄養素が含まれてなく体内に余計な体脂肪として蓄積されることはありません。

しかし、ビールや日本酒、ワインといった醸造酒には原料となる糖質等のカロリーが含まれます。要するにエンプティーカロリーではない「中身のあるカロリー」も含まれているのです。

詳しくは次項の【「太りやすいお酒」と「太りにくいお酒」】にて解説していますので、そちらもあわせて読んでみてください。

飲酒時に体の中で起こっていること

では、飲酒時にはどのようなことが体の中で起きているのでしょうか?

肝臓がお酒を分解しにかかります。解毒といってもいいでしょう。実は肝臓がお酒を分解しようとすればするほど、脂肪が分解されにくく、また脂肪を溜め込もうとする働きが生じます。よって長期の飲酒は脂肪肝という事態を招くのです。

また、肝臓は体内のアルコールを優先的に分解しようと働きます。他の栄養素の分解を後回しにしてしまうのです。つまり、アルコールを優先的に分解するので、糖質や脂質が後回しにされ体脂肪として蓄積されやすくなるのです。

お酒を飲むと、肝臓でのアルコール分解過程で脂肪が蓄積されやすい状況が起こるということのようですね。

「太りやすいお酒」と「太りにくいお酒」

ここからは「太りやすいお酒」と「太りにくいお酒」について解説していきます。日々の晩酌や、外食時のお酒選びの参考にしてみてください。

“太りやすいお酒”とは「醸造酒」

太りやすいと言われるお酒の代表格はビールや日本酒、ワインです。これらは「醸造酒」といって、製造の過程で糖質が生まれます。カロリー自体は低いですが、糖質が多く含まれるので太りやすいと言えるでしょう。おおよそですがビールは30%、日本酒は20%、ワインは15%くらいが原料分のカロリーです。

例えばビール500mlのカロリーは約200kcalなので、原料分のカロリーはその30%の60kcalくらいということになります。つまりこの60kcalはエンプティーカロリーではないので、体内に蓄積する可能性があります。よって、飲み過ぎに気をつける必要があるでしょう。また、ビールに関しては食欲増進の作用もあるため注意が必要です。

さらに日本酒一合のカロリーは約200kcalなので原料分は40kcalくらい、ワインは100mlで約80kcalなので原料分は12kcalくらいあります。目安として覚えておくと良いでしょう。

“太りにくいお酒”とは「蒸留酒」

それに対してウィスキー、ジン、ウォッカといった蒸留酒は全てエンプティーカロリーです。カロリーそのものを数字で見ると醸造酒に比べると高くなりますが、体内に蓄積する可能性のあるカロリーは0kcalということになります。そのためこれらのお酒自体は太りにくいお酒と言えるでしょう。

しかし、飲み方に気をつけないと一気に太りやすいお酒になってしまいます。ロックやストレート、水割りや無糖の炭酸水、お茶で割って飲むのがおすすめ。ウィスキーを甘い炭酸飲料で割ったり、焼酎をジュース類で割るなどすると一気に砂糖を摂取することになってしまいます。気をつけましょう。

一番気をつけるべきは“おつまみ”

お酒にはおつまみ、美味しい料理がつきもの。お酒を飲むと太ると言われるのは、実はこの飲酒時の食べ物が一番影響があると言われています。ここからは、気をつけるべき「おつまみ」について解説していきます。

太りやすいおつまみの特徴は「脂質」と「糖質」

お酒を飲むとついつい食べてしまう……それも脂っこいものやカロリーの高いおつまみに手が伸びてしまいます。から揚げやアンコウの肝なんか美味しいですよね。さらには、締めのラーメンなんかも。このようなパターンの飲酒はどう考えても太ってしまいます。

昔に流行ったCMでも言っていましたが、「美味しいものは脂肪と糖で出来ている」はまさにその通り。脂質や糖質の多い高カロリーなおつまみは気をつけるようにしましょう。

また意外と盲点なのはナッツ類。栄養価が高く、脂質とカロリーが高めなので食べ過ぎには気をつけましょう。

太りにくいおつまみは「食品表示」を見て選ぼう

とはいえ、おつまみ無しの飲酒は身体によくありませんし、晩酌のお供におつまみがないのは少し味気ないですよね。そんな時はヘルシーなおつまみを選んでみましょう。

最近ではコンビニでもヘルシーなおつまみが充実しています。冷凍の「枝豆」や、極限まで脂質をカットしてレンジでチンして食べられる「砂肝の塩焼き」など、探せば意外と豊富にあります。店頭に売られている商品の裏にある食品表示をよくみてカロリーや脂質、糖質の量を見てみてください。

特に、飲酒時にはタンパク質が不足しがちになるので高タンパクなおつまみを選ぶと、健康にも良いですし満足度も高くなります。

【まとめ】お酒が太るのは飲み方と食べ方!健康に気をつけてほどほどに楽しもう

いかがでしたでしょうか。「お酒は太るから」ということを肯定するとしたらそれはカロリーが高いからではなく、飲酒時の肝臓の働きやおつまみの選び方・食べ方に要因があるということですね。

ダイエットに関しては、お酒をやめてその分食べていたのでは意味がないことも判明しました。(お酒は蓄積されるカロリーは少ないわけですから)

ただ、飲酒は肝臓に負担をかけることは紛れもない事実です。太る、太らないということよりも健康上、特に肝臓をいたわるためにもお酒の飲み方には注意して、ほどほどに楽しめると良いですね。

筆者プロフィール

大塚聡 / パーソナルトレーナー(株式会社サミープロジェクト)

株式会社 サミープロジェクト代表取締役

サミーコンディショニングスクール代表

一般社団法人日本生活体力推進協会代表理事


1961 年5 月生まれ

早稲田大学教育学部体育学専修卒

早稲田大学大学院人間科学研究科修了(体力科学専攻)

フィットネスクラブ指導責任者、経営責任者を経て独立

株式会社サミープロジェクトを設立し現在に至る

 資格

人間科学(健康科学)修士

教育学士

NSCA-CPT(パーソナルトレーナー)

CSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

日本体力医学会健康科学アドバイザー

厚生労働省ヘルスケアトレーナー

中学・高校保健体育教員ら

国際救命救急協会救急心肺蘇生法取得者

主な企業フィットネス実績

・ベネッセコーポレーション高齢者身体づくり教室監修

・日本商工会議所主催生活習慣病予防改善セミナー全国各地にて講演

・モーリスコーポレーション健康事業顧問

・ライオンズクラブ健康セミナー

・公立高校における親子健康セミナー

など、企業の健康関連部門においても多数活動