体脂肪計の数値に一喜一憂しない!専門家が教える正しい活用法

体脂肪計の数値はなぜ変動するの?その仕組みと誤差の原因を専門家が解説。日々の数値に惑わされず、長期的な視点で健康管理に活かすための上手な付き合い方をご紹介します。

毎日測るたびに変わる体脂肪率。「昨日より増えた…」と一喜一憂していませんか?実は、その数値、鵜呑みにするのは少し早いかもしれません。体脂肪計の仕組みを知り、賢く活用しましょう。

体脂肪計の数値を鵜呑みにしてはいけない理由

市販の体脂肪計は手軽で便利ですが、その数値が絶対的な真実とは限りません。体脂肪計が悪いわけではなく、その特性を理解することが大切です。なぜなら、測定の仕組み上、さまざまな要因で誤差が生じるからです。

ここでは、その理由と、数値を正しく解釈するための第一歩を解説します。

その数値、本当に正しい?

毎日体重と体脂肪率を測っていると、食事内容や活動量によって数値が変化するのが面白いですよね。しかし、表示された体脂肪率の数値をそのまま信じてしまうのは、少し注意が必要です。

市販の体脂肪計は、体脂肪を「直接」測定しているわけではありません。ある方法を使って体脂肪率を「推定」しているのです。そのため、その仕組みを知り、特性を理解した上で活用することが、健康管理の鍵となります。

体脂肪計はどのように体脂肪を測っているの?

多くの体脂肪計で採用されている「インピーダンス法」。これは体に微弱な電流を流し、その電気抵抗(インピーダンス)から体脂肪率を推定する方法です。筋肉と脂肪では電気の通りやすさが違うという性質を利用しています。ここでは、その基本的な仕組みをわかりやすく紐解いていきましょう。

主流は「インピーダンス法」

市販されている体脂肪計のほとんどが、「インピーダンス法」という測定方法を採用しています。両足を金属のプレートに乗せたり、両手でバーを握ったりする、あのおなじみのタイプです。

この方法は、身体にごく微弱な電流を流して、その際の電気抵抗(インピーダンス)を測定します。そして、その抵抗値をもとに体脂肪率を計算しているのです。

筋肉と脂肪の「電気の通りやすさ」の違い

私たちの身体は電気を通しますが、組織によってその通りやすさは異なります。

筋肉: 水分を多く含むため、電気抵抗が低く、電流が通りやすい
脂肪: 水分が少ないため、電気抵抗が高く、電流が通りにくい

この性質を利用し、体脂肪計は「電気抵抗が高いほど体脂肪が多く、電気抵抗が低いほど筋肉が多い」と判断します。つまり、測定しているのは体脂肪そのものではなく、あくまで身体の「電気抵抗」なのです。これが、体脂肪計の基本的な仕組みです。

なぜ測定結果に誤差が生まれるのか?

「測るたびに数値が違う…」そんな経験はありませんか?体脂肪計の測定値は、測定する体の部位や、時間、体調など、さまざまな条件で変動します。同じ日に測っても数値が違うのは、こうした誤差が原因かもしれません。ここでは、測定誤差がなぜ生じるのか、その具体的な要因を解説します。

測定部位による違い

体脂肪計には、足だけで測るタイプ、手で測るタイプ、そして手足両方で測るタイプがあります。それぞれ、電流を流す範囲が異なるため、測定結果にも違いが出ます。

足で測るタイプ: 主に下半身の電気抵抗を反映しやすい
手で測るタイプ: 主に上半身の電気抵抗を反映しやすい

そのため、同じ人でも上半身と下半身で体脂肪の付き方が違えば、測定器のタイプによって数値が変わってくるのです。全身の体脂肪率をより正確に把握するには、手と足の両方で測定するタイプの方が、信憑性が高いと言えるかもしれません。

測定時のコンディションによる変動

測定誤差は、測定時の身体のコンディションによっても大きく左右されます。以下のような要因で、電気抵抗値は簡単に変わってしまうのです。

・測定時間: 朝、昼、夜など、時間帯によって体内の水分量が変動します。

・起床後の経過時間: 起床直後は体内の水分が上半身に集まりやすいため、下半身で測ると体脂肪率が高く出ることがあります。

・身体活動: 運動後は血行が良くなり、電気抵抗が低くなるため、体脂肪率は低く出やすいです。

・食事や入浴: 食後や入浴後も体内の水分バランスや体温が変化し、数値に影響します。

・その他: 足の裏の乾燥状態や、測定器の握り方、季節による体温の変化なども誤差の原因となります。

連続で3回測定して、3回とも数値が違う、ということも珍しくありません。これは、体脂肪が急激に変化したのではなく、測定条件のわずかな違いが数値に影響した結果なのです。

体脂肪計との上手な付き合い方

誤差があるなら意味がない、と思うのは早計です。大切なのは、日々のわずかな数値の変動に一喜一憂しないこと。体脂肪計を「傾向を見るためのツール」と捉え、長期的な視点で活用することが重要です。ここでは、神経質にならずに健康管理を続けるための、上手な付き合い方をご紹介します。

「点」ではなく「線」で見る

体脂肪計の数値は、ある程度の誤差(経験上、±2%程度)を含むものだと認識しましょう。昨日15.3%だった数値が今日17.0%と表示されても、1日で体脂肪がそれだけ増えたわけではありません。

重要なのは、毎日の「点」の数値に一喜一憂するのではなく、長期間(最低でも半年以上)の「線」の変化を見ることです。

例えば、女性の体脂肪率の適正値は20.0〜30.0%未満(年齢による)とされています。日々の測定値が21.0%、23.0%、21.5%…というように、多少の変動はあっても適正範囲内に収まっていれば、良好な状態と判断できます。

長期的な目標設定に活用する

ダイエットに取り組んでいる方も同様です。今日の数値が昨日より少し増えていても、がっかりする必要はありません。

「一年間ダイエットを続けたら、以前は30%を超えていた体脂肪率が、常に25〜27%の範囲に収まるようになった」

このように、長期的な変化の指標として活用するのが、最も賢い付き合い方です。ふと気づいたら、いつも適正値を超えている…とならないための、自己管理ツールとして役立ててください。

【まとめ】体脂肪計はあなたの健康管理のパートナー

市販の体脂肪計は、その仕組みと誤差の存在を理解した上で活用すれば、非常に優れた健康管理ツールになります。

日々のわずかな変化に心を乱されることなく、長期的な視点でご自身の体の変化を捉えましょう。まずは体脂肪のことばかり気にしすぎず、体力をつけることから始めるのも良い方法です。

体脂肪計を上手に活用し、一喜一憂しない、賢い健康管理を続けていきましょう。

筆者プロフィール

大塚聡 / パーソナルトレーナー(株式会社サミープロジェクト)

株式会社 サミープロジェクト代表取締役
サミーコンディショニングスクール代表
一般社団法人日本生活体力推進協会代表理事

1961 年5 月生まれ
早稲田大学教育学部体育学専修卒
早稲田大学大学院人間科学研究科修了(体力科学専攻
フィットネスクラブ指導責任者、経営責任者を経て独立
株式会社サミープロジェクトを設立し現在に至る

資格

人間科学(健康科学)修士
教育学士
NSCA-CPT(パーソナルトレーナー)
CSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
日本体力医学会健康科学アドバイザー
厚生労働省ヘルスケアトレーナー
中学・高校保健体育教員ら
国際救命救急協会救急心肺蘇生法取得者

主な企業フィットネス実績

・ベネッセコーポレーション高齢者身体づくり教室監修
・日本商工会議所主催生活習慣病予防改善セミナー全国各地にて講演
・モーリスコーポレーション健康事業顧問
・ライオンズクラブ健康セミナー
・公立高校における親子健康セミナー

など、企業の健康関連部門においても多数活動